土手

みんな集合だよ~

キングオブコント2019の感想

 

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今年も最高でしたね!キングオブコント!

お笑いの賞レースの中でもM-1グランプリとキングオブコントは別格で面白いです。めっちゃ笑いました。

 

最近はあまりお笑いを見れていないので恐縮なのですが、毎年のようにキングオブコントの感想を書いているので、今年も書きます。よろしくお願いします。 

(※なお、当記事は私個人の感想を書いただけのものです。「笑いの感性は人それぞれ」というのは重々承知しておりますので、予めご留意ください。)

 

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①うるとらブギーズ

 

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トップバッターってのは、どの賞レースでもハードルが高い(会場がまだ暖まっていない、1組目という緊張感など…)ものですが、めちゃくちゃおもしろかったですね!

審査員の皆さんも言っていましたが、ここ数年でトップクラスに面白かった。

なるほど。実際に審査員が松本人志・さまぁ〜ず・バナナマンに変更されてからのキングオブコント1組目の点数を確認してみましたが、以下の通り、うるとらブギーズは群を抜いて高評価でした。

2015年 藤崎マーケット 451点
2016年 しずる 443点
2017年 わらふじなるお 434点
2018年 やさしいズ 419点
2019年 うるとらブギーズ 462点

 

ネタ 『喋ってる人と一緒に喋ってしまう』

不思議なBGMが流れる中、登場した催眠術師がいかにも催眠術師らしい口上を述べる。しかし、何故か言葉が重なって聞こえてくる異変。最初は私も「ん?」という感じだったんですが、「いや、これ明らかに重ねてるな!」と気付いた時は会場と同じタイミングで笑っていました。

「言葉を区切って相手の言葉を繰り返す」というのは割と日常生活でもありがちのおふざけですが、相手と一緒に喋り出すってのはだいぶ特殊な人だと思います。でも、うるとらブギーズのコントを見てると、「あーこういう人いるよなー」という気持ちになってくる。実際、私は相手が喋ると同時にその人の言葉を喋ってしまう人なんて、人生で一度も見たことがないわけですが、謎の既視感を覚えてしまったんですね。それというのも、チェックシャツの方(八木 崇)の「いそう」な振る舞いが長けてるからだと感じました。姿勢、立ち振る舞い、シャツイン、歩幅、声色、そしてなんと言っても顔。顔が良いですよ、もちろんいい意味で。なんか小憎たらしい顔してて、“相手の言葉を真似そうな人”のモノマネがめちゃくちゃ上手でした。催眠術師(佐々木崇博)が腹立つのも分かります。言葉もですけど、感情も真似しちゃってるんだもん。あと、「カシモト」という苗字も絶妙なバランスでしたね。なんででしょうね。「カシモト」って響きがこんなにマッチしてて心地良さを覚えるのは。(まぁ、この感覚は完全に私だけな気がしていますが…)

 

設定が抜群に良いのと、それを活かしたボケも魅力的でした。

「カシモトには構ってられない」と他の被験者を募って、ある女性を舞台に上げた後、その女性の言葉まで真似ちゃうところ。「そうか!そういうところまでやっちゃうんだな~!」と。もうここまで来ると、催眠術会場の観客同様、カシモトさんに夢中ですよ、こちらは。そして、さらにカシモトさんに深みを持たせているのが、女性が「神奈川県出身です」と言ったあとの「一緒だ!」の一言。憎めないですね~!カシモトさん!うるさいけど、どうしても憎めない。こういう細かなところが大好きです。それと同じくらい利いてるのが、女性を断ったあとのカシモトさんの「またお願いします」の一言。いや、どの立場で言ってんだよ!

大ボケも予定通りの笑いを引き起こしてた感じでした。集中しろと言ってるのに「細く細く細く…」と繰り返して全然集中できてないところ、会場の観客がカシモトさんで遊ぶところ。設定の活かし方+ボケの質も上質でめっちゃ笑いました。

トップバッターでここまで点数が高いのも大納得です!

 

②ネルソンズ

 

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ついにネルソンズが決勝に!有田ジェネレーションにレギュラー出演してますし、確かとんねるずのみなさんのおかげでしたにも出てたので、案外お茶の間にも知られてるかもしれません。というか、TBSの例の“若手芸人が番組で怪我”の件で名前は伝わったのか。

 

ネタ 『すぐに秘密言っちゃう奴』

ネルソンズはどうしても和田まんじゅうのキャラが強すぎます。どう転がしてもコントで輝きを放ち過ぎてる。なので、それを活かす形のネタ作りの光景が見えます。ただ、和田まんじゅうが輝くのも青山と岸という等身大の人間がいてこそだと思ってるので、そこも見て欲しいところ。

まず、初っ端からひたすら腕を伸ばし続ける和田まんじゅうの佇まいにやられます。ネルソンズを見た事ない人でも、「あっ、こいつ絶対ボケ役だ」と力技で分からせてしまうのは流石です。秘密を即バラすどうしようもない人間ですし、“部室掃除”、“グラウンド整備”などのどうでもいい罰をチラつかせられるとすぐに秘密を白状する様はまさに「なんなんだコイツ」という感情がピッタリ。

それが一番顕著に出たのが青山に詰め寄られた和田まんじゅうが逆ギレするシーンでしょう。小刻みに揺れながら相手に詰め寄っていく姿は、怖さもあり、コメディさもありで面白かったですね~

終盤で三人が舞台に揃った時のわちゃわちゃ感も楽しい雰囲気で良かったです。

 ただ、逆ギレしたあとのセリフがハードル上がりきっちゃってたのを越えられなかった気がしました。「バスケがしたかった」はさすがに脈絡が無さすぎて、コントの中で唐突に放り込まれた感が否めなかったかと。

 それでもトリオであることを活かしたいい構成で、和田を中心に変わるがわる場面が転換していくのは見ていて飽きなかったですね。多分、今後もっと人気が出ると思います!

 

③空気階段

 

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「空気階段がおもしろい」「空気階段は今年絶対くる」と言われ続けて実際に来た強者。確かに、私もネットをしていて空気階段の人気の高さは伺い知れるところがありました。ネタも見た事ありますけど、間違いなく面白いですよね。この前評判を越えられるか・・・と言ったところで、ドキドキしながら見ていました。

 

ネタは『同じ人』

このネタは見せ方が斬新でした。コントであることを利用した叙述トリックみたいな。最初はタクシー運転手が目黒を根室と聞き違えたり、迷路書いて遊んでたり、シート倒し間違えたり、スタンプカードを勝手にやってたりと、明らかにボケ役なんですけど、この役には徐々に違う意味が足されていきます。

後半、明らかに同じ顔なのに、別人だと言い張る人に翻弄され、「一体、何が起こっているんだ・・・?」と、私たち視聴者と同じ目線に立つ役になっている。この動きは斬新でした。一応、五反田をオランダと聞き違えたりしていて自分の意識は保っているものの、翻弄されすぎて声のトーンが落ちているところなんかは演技力あるな~!と。

しかし、ネタの構成が面白かった故に、もっと直接的に笑えるのが欲しくなってしまいました。「買った新品のトランペットにヘチマが詰まっていたから返品しに行く」「日本全国から親戚80人が集まってGENERATIONSのライブに行く」

これらのボケはどうしても大喜利感が出てしまう。「タクシーに乗ってきた印象的な客とは?」という大喜利の回答みたいになってしまって、それを聞いた瞬間に「コント感」が薄れてしまった気がしてます。もちろん、その回答がフックになって、「三人いる」という構成が完成するわけなんですが、そこでちょっと冷静になってしまった自分がいました。どちらかというと、スタンプカードの欠点(20日以降は一撃でスタンプが貯まる)を指摘されたもぐらが、自分で作ったスタンプカードのくせに笑ってるところがツボでした。ああいうボケをもっと見たかったな~

 

でも、敗者コメントで1番爪痕残したのは水川かたまりでしたね。

「お笑いのある世界に生まれてきて良かったです」

これは全国のお笑いファン全員が共感しました。お笑いに救われた男が、お笑いをやって、そのトップの舞台に立っていることの尊さ。噛み締めたい。。ラジオも聞こうと思います。

  

④ビスケットブラザーズ

 

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初見でした。これはコントでしか表現出来ないですね。今田耕司が言うように、ファンタジーないわゆる今風?なコント。BGMを効果的に使ってて、面白かったですね~

 

ネタは『思い出した』

個人的に、「初っ端のバッグ投げつけて友達になってくれよ→アホか当たり前や!」の流れがすげー面白かったです。なんなんだよ。

BGMが流れて「全部思い出した!」のところは安定して盛り上がってましたね。特にSun!day!Mon!day!って分けるやつ。あれはネタ中のピークで面白かったです。ああいう全く意味の無い分け方をするみたいなボケが好きなんです。

あと途中、女が記憶を思い出して男が思い出してないくだりも良かった。記憶を思い出す前の男が底抜けにアホそうで、シリアスな場面に紛れ込んでるだけで笑えてきます。でも、個人的にはもう少し話がぐちゃぐちゃになってくれた方が笑えたかも。得点が伸び悩んだのは、後半でネタの設定と仕組みが分かったあとのボケがあまり響いていなかったところですかね。オチは今大会の中で一番好きでした。そうだね、働こう。

 

⑤ジャルジャル

 

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M-1でも決勝出ててキングオブコントでも決勝行ってて、ほんとかまいたち同様賞レース荒らしだなと思いました(良い意味で)。

麒麟川島も言ってましたけど、ジャルジャルのコントは日常から非日常に持っていくのが抜群に上手い。「あぁ~そういう着眼点でこういう切り取り方するんだ!」ってのが天才的。

 

ネタは『周波数』

周波数の関係で、一定の距離を越えると日本語が英語に聞こえてしまうという「え??」な設定。それがわかった時には「どっ」という笑いが起きてました。特に福徳と後藤の演技がたまらないですよね~部活の先輩後輩の雰囲気を醸し出すの上手いな~

“周波数が変わる”という発見一つでここまで作れてしまうのはジャルジャルならでは。やってることはずっとほぼ一緒なのに感心しますよね。細かなところでは「わさびがツーン」のあまりにもしょうもない掛け声。これを考え出してるの凄いと思うんですよ。英語だとかっこよく聞こえてる、じゃあ日本語ではなんて言ってるのかな?って考えた時に、「わさびがツーン」というめちゃくちゃ面白くない答え。いわゆる、逆にそれが面白いってなもんで、このあたりは本当にセンスなんだろうな…

同じようなところでは、「天井が穴だらけでサビだらけの一輪車がハンガーでネズミが・・・」の気持ち悪い文章。文字で読んでも気持ち悪っ。これに関しては文章が繋がってないところも“周波数の関係で”っていう設定とリンクするのが気持ち良かったです。

「ジャルジャルだから期待してしまう」ってのは確かにあって、個人的にはもっとしつこいのが見たいなという気持ちもありました。ジャルジャルに劇的につまらないことと、怒涛のしつこさをやらせたら右に出る者はいないんじゃないか?と思ってるので、どこかそれを期待してた自分もいました。

でも、おもしろかった!ジャルジャルの感性って唯一無二だと思うので、これからもたくさん笑わせてもらいます。ありがとうございます。 

⑥どぶろっく

 

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今回の記事はどぶろっくについて書きたくて起こしたみたいなところがあります。書かせてくださいよ、どぶろっくについて。

 

「もしかしてだけど~♪」の印象がどうしても残るどぶろっく。最近では一発屋として扱われていて、ケンドーコバヤシのバコバコTVくらいでしか見てなかったんですが、こんなに面白いとは恐れ入ってます。いや、マジで今年一笑ったかもしんない。私のタイムラインにはどぶろっくを賞賛する人たちが多くてホクホクしてたんですが、ひとたび違うコミュニティに行ったら、「いや、下ネタじゃん」「歌上手いだけ」「くだらない」みたいな意見があまりにも多すぎて、いやいやちょっと待ってくれと。

そういう人の思考回路って「イチモツというワードが出た=下ネタ=忌避すべきもの=おもしろくない」みたいになってると思うんだけど、そんなの思考放棄もいいところだろ!思考停止しないでよく考えようよ!

 

まず大前提に下ネタと下品は違うという所は大丈夫?下 “ネタ” であって、その“ネタ”の部分には笑いが含まれていることは自明の理です。下品なのは単純に性的なワードを言ってるだけだったり、リアルさ、つまり具体的な性行為を想起させるようなもののことを俺は下品だと思ってます。じゃあ、このコントの中で“イチモツ”がどういう意味を持ってるかと言うと、“くだらないものの代表格”としての意味を持っている。それは、コントの設定で「病に伏せる母を救うためのチャンス」という天秤にかけられたものの対象だったから。このコントは、母の命と大きなイチモツを天秤にかけた結果、イチモツをとったこの男の馬鹿馬鹿しさに笑うのであって、「うわっ!イチモツだって!お下品~!面白くな~い!」なんて言ってる奴はなんにも考えてない証拠。

よく見てみると、江口の動きも凝ってて面白いですよ。ミュージカル風に動いてて、良いシーンっぽいのに次の瞬間には執拗に大きなイチモツを神にねだるという、この振り幅。この振り幅をできるだけ高めるためにギターも入れるし歌も上手に歌うし、ミュージカルな動きもしてるんですよ。それらの完成度が高ければ高いほどイチモツというくだらないものをねだる江口のアホらしさが増していってることをわかって欲しい。

合間合間の具体的な要求もこの設定だからこそ笑えてきます。「ズボンを突き破るほどのイチモツ」「銭湯でみんなが二度見するイチモツ」「肩にかつげるくらいのイチモツ」

いや、そんなの持ってて何になるんだよ!と。母の命かかってるのに具体的な要求を神に押し付けんなよ!と視聴者にツッコミさせるような形式。たまらないですね、テレビの向こうの人にツッこませたらもう勝ちですよ、こんなもん。それだけコントにのめり込んでるってことだから。

構成としてはひたすら天丼を繰り返す形なんですけど、それもミュージカル風に見せてる効果もあって、ファーストステージ中は飽きることなく「もっとやってくれ~!」と思いながら見続けることが出来ました。後半はもう「待ってました!」ですよね。いや~いいなぁ~!

どぶろっくに関してはキングオブコント決勝だからこそ更に面白さが増したのかもしれませんね。にゃんこスターしかりどぶろっくしかり、キングオブコントっていう「人生が変わる大舞台」っていう背景をフリに使ってるみたいな所ありますからね。「こんなところでそんなことすんのかい!」ってのは、キングオブコントという舞台装置がなくては動かないですし。あと、“どぶろっく=下ネタ”という前提があったのもいい方向に働いたかな。設楽も言ってましたけど、カッコイイですよ。一本筋が通ってて。

ただ、それもありましたけど他にも目を見張るところは多かった。例えば、神が愛想を尽かして帰ろうとしたあとの、「ついで~に~」の間。あれは絶妙でした。その後に来る要求が「肩にかつげるくらいの」なのも良い。そんなのついでに貰ってどうするんだよ。もう、大きなイチモツが欲しすぎて訳分からないこと要求してる感じが面白すぎる。あと、森の戸惑いも助かりますよね。最初に大きなイチモツを要求された時の「えー!?あれ!?」「なんでー!?」とか、愛を否定された時の顔が、このバカを際立たせてた。その前の、愛を説かれてる時の江口の感化されてるかのような芝居もいいんだよなぁ。実際、なんにも響いてないくせにね!

いや~面白かったぞ~!どぶろっく!!!

 

⑦かが屋

 

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空気階段同様、今年めちゃくちゃ名前を聞いていて、実際ネタ番組出演も多かったし、有名人たちがこぞって名前を挙げるもんだから「かが屋を抑えていないやつはモグリ」みたいな謎の雰囲気が蔓延していたような気がしてます。

ただ、私はというと、あまりそのビッグウェーブに乗り切れてなくて、ネタも見た事あって感心こそするんですけど、ゲラゲラ笑う感じではないなと思ってしまって。コントの見せ方がめちゃくちゃ上手で、それに合わせた二人の演技も上手くて「すげ~!」とはなるんですけど、見終わったあとの感想が「なるほどなぁ・・・」なんですよ。「面白かったね」じゃなくて、「ああいうのもあるんだなぁ・・・」っていう感心で感情が帰結してしまうんですよね。私が笑いに求めてるものと、ちょっとズレてしまうのが気がかりで今まではあまり乗れてなかったかなぁと。

でも、今回のコントは良かった!笑った笑った~!

 

ネタ『プロポーズ』

 

“プロポーズするために彼女を呼び出したけど、全然彼女が来ない”っていうシチュエーションを、かが屋らしいコントの見せ方で見せる。

走馬灯のような感覚で積み上げられるあの絶望的な顔の理由が増えていく度に、暗転後の顔が面白くなる。二人の芝居が憎い演出をしてますね~

「自分があれこれ余計なことやってしまってこんなことになってしまったんじゃないか?」という自責の念に駆られる加賀の顔がいたたまれなければいたたまれないほど面白いという。誰も悪い人がいない上質なコントだったなぁ~

でも、キングオブコントはその場の笑いの量ってのがだいぶ重視される大会になっているので、これは多分行けないだろうなぁとは思ってました。設楽が高得点つけていたけど、そこはわかっていたと思いますけどね。「良いドラマを見た」的な気持ちになっちゃうんで、“コントに何を求めているか?”という感性で両極端に割れるコンビだと思います。好きだけど、今回のキングオブコントで1位にはなれなかったかなぁ。今度東京行くから生で見てみたいな~!

【追伸】

あっ、あと、かが屋のコントの「日めくりカレンダー」の件で醜いマウント取ってる人が沢山いるみたいですね。好きなように見たらいいじゃないですか。私も偉そうにこんなん書いてますけど、本当のところはネタ作ってる本人たちしか分からないんだから。何日も通いつめていたとしても、それはそれでウケるじゃん。何が悪いんだよ。笑いの世界でそんなマウント取り合うようなことすんなよ、みっともない。以上。 

⑧GAG

 

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3年連続決勝進出してるトリオ芸人。例年、彼らのコントを「安定して面白いが、優勝は出来ない」と評してきましたが、今年は3年間で1番良かった。すごい良かったぞ~!

 

ネタ 『男女コンビ』

男女コンビの裏側の裏側にまで切り込んできたようなネタで新鮮さがありました。“女芸人はブスじゃないと美味しくなれない”という風潮は徐々に薄れつつありますが、「とびっきりの美人が変なことやってても腹抱えて笑えるか?」と問われたら素直にYESとは言えないのも事実。このあたりは生理学的な問題なのかもしれないですね。。

坂本の好青年っぷりから一転して、彼氏にとっては最悪のネタを書きあげるサイコパス感が良かった。そして、そのネタがあまりにも面白くなくて、それが福井をさらに苛立たせる。面白かったらまぁ、許せると思うんですよ。でも、全く面白くなかったら、そりゃ怒りますよね。

宮戸本人が言うように、とびっきりのブスじゃないところもいいアクセントになってました。ネタ中にもありましたけど、どちらにも振り切れていない故に芸人にとって少しでも美味しそうな“ブスを選択する”というのは、確かに「お笑いって異常な世界やな」でした。ここからの「市役所じゃ考えられへん!」も、福井の真面目っぷりが逆に笑いに繋がる作りで、構成の妙だな~と思いました。あとは、元々太っていたというキャラを押す押さないのくだりでもう一跳ねしてたらジャルジャルより点数高かったと思うんですけどね。最終審査は無念・・・としか言いようがないです。ジャルジャルのあの決勝ネタだったらGAGでもよかった気するけどな~!

 

⑨ゾフィー

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事前SP番組では1日300本のネタの種を書いているという上田さん。ヤバすぎるでしょ。ジャルジャルはネタ総数8000とか言うし、かが屋は月に100本書いてるって言うし、キングオブコントって改めて選手層が分厚すぎるなと感じました。ここまでしてて優勝をもぎ取れない大会・・・

笑いの難しさがありますね。

 

ネタ『腹話術師の謝罪会見』

腹話術師が人形と一緒に謝罪会見するという、東京03の飯塚さんが言っていた“宝物みたいな設定”。確かに、設定だけ聞いても面白そうでした。こういうアイディアを生み出して、ネタに昇華させるのホント尊敬します。

ふくちゃんと一緒に登場した段階でもう面白いんですけど、その操りも達者なのがさらに笑えてきます。声色も良くて、人形が喋ってる感じが出ててGood。記者からの質問に人形が勝手に答えていくっていう構図が完成されすぎてて、何やっても面白い状態でした。途中、しどろもどろになってる時にふくちゃんが寝てるところは、自分で動かしてくるくせに「なんでそんなんなってるんだよ!」って感じで、その裏を想像すると笑いが止まんないですね。意味が無さすぎるもん。

ただ、「ハッ!」とさせられたのが松本人志が言っていた“カメラワークに助けられた”という言葉。なるほど、視聴者としてはテレビを通してみてるだけなんですけど、これが“舞台を見てるコント”だとしたらどうなっていたか。このコントの肝はふくちゃんの細やかな仕草と表情の変化だったりするんですけど、テレビを通してみてる我々はその恩恵を十分に浴びてる形だったんですね。1番それが顕著だったのが、上田の顔越しにふくちゃんがゆっくりこちらを振り向くシーン。あれって1番面白さを見れてる映し方なのかもしれません。それを審査員、そして会場のお客さんにはどう見えていたのか知りたいところです。今回のコントを俯瞰でずっと舞台のみを映していた場合、確かにコントの面白さが減っていた可能性は大いにあります。その部分が得点に繋がらなかったのかなぁ・・・という感想でした。そして、松っちゃんを見直しました。そうか!そういう見方も審査員はしてるんだ!と。まぁ、それ抜きにしても面白かったのは確実でしたね。レベル高いな~! 

⑩わらふぢなるお

 

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わらふぢなるおも3年連続決勝進出している確かな実力者です。ふぢわらのシュッとした顔から繰り出される狂気のあるボケと、感情爆発の口笛なるおのツッコミが魅力的なコンビです。

 

ネタ 『バンジージャンプ』

ネタのつかみの早さは今大会イチだと思いました。あんな早さで飛べるやついないよ!バンジー系のボケが良かっただけに、それ以外のボケがあまり跳ねなかったのが惜しまれます。「名前無いんですか?」も面白いんですけど、もっとバンジー系のやつが欲しかったなぁ。間を全然くれない所とかめちゃくちゃ笑ったんですけどね。やっぱり、後半の盛り上がりをもっと早めに持ってこれてたらなぁってところ。ふぢわらの狂気をもっと押し出していってもいいんじゃないかな~と思いました。得点は伸び悩んでしまったんですけど、私は個人的に大好きなネタでした。こういうヤバい奴が登場するネタ好みです。来年にも期待です。

 

ファイナルステージ

 ファイナルステージは簡潔に。 

ジャルジャル

ジャルジャルらしい世界観。上でも書きましたけど、つまらないことを考えさせたら天才的ですね。後藤のお腹グーグー正原Showタイムとか全く面白くないもんなぁ。相手が勝手に合わせてくれて、都合のいいように話が転がっていくのはジャルジャルっぽさ満天。最後のオチは後藤同様、「理解できへん」です。なんなんだよ、あのオチ、怖・・・

確かに審査員のみんなが言うように爆発しきれなかったですかね。

うるとらブギーズ

サッカー中継の実況者と解説者のふざけ合い。これめちゃくちゃツボなんですよ。あんなに中身のない会話をよく楽しく話せてるなぁってところ。決定的なシーンを全然見れないっていうテンドンを、間の会話だけ変えて繰り返すだけなんですけど、それがもう面白い面白い。特に雨に透けて「乳首サッカーだ!」「乳首オフサイドだ!」ってはしゃいでる所とか、楽しすぎます。途中、ゴールのフェイントを入れるところも馬鹿馬鹿しくて最高でした。1本目が割と設定として少しひねってましたけど、2本目の方がもしかしたら好みかもしれない。なんか、見てて「こいつらアホだなぁ」って思えるネタが好きなんですよね。二人のキャラクターもちょうどいいんだよなぁ。笑いの量はどぶろっくの1本目には及びませんでしたが、ネタの内容だけ見たら今大会で一番面白かったです。おもしろかった!

 どぶろっく

とんでもなく凄かった1本目を披露したあとの期待感を背負っての2本目。こういう形になりましたか。いや、もうこれでいいです。これがキングオブコント2019だったんですよ、結果的に。1本目に江口が農夫ver.を持ってきたのは絶対に正解でした。江口が大きなイチモツを欲しがってるのが似合いすぎるんですよね。というか、キングオブコントをフリに使って、1本目をフリに使ってと、やってることが大胆すぎますよ。そして、頑なに下ネタを続けるどぶろっくに尊敬の念を抱いてしまってます。優勝おめでとうございます。文句なしに今大会で一番ウケたコンビでした。泣いている江口さんの涙が綺麗だった。あんな下ネタやってるのになんて良い涙を流してるんだ!って思った。そこ含めてまさにチャンピオンでした!

その他

カメラワーク

ネタ中に審査員をすっぱ抜くのどうにかならないですかね・・・

ゾフィーの項でも言いましたけど、カメラワークってめちゃくちゃ大事だと思うんですよ。だからこそ、どぶろっく1本目で神の登場に会場と同じタイミングで気付けなかったり、GAGの福井がダダこねるシーンをきっちり見れなかったのが悔やまれるんですよ。。別に審査員が笑ってるところが笑いどころなんだ!とか要らないんですよ。だってお笑いの大会で審査員の顔色伺うなんて馬鹿げてるんだから。ネタに結果がついてくるだけなんだから、きっちり全部見せてくださいよ、頼むから・・・ 

完全シークレット

去年も言ったけど、なんなんだろう、これ。誰が得するのかがよくわからない。完全シークレットだったら、事前に分からないように細心の注意をするものでしょう。なのに、応援した出演者が誰かで結局事前にバレるってお粗末すぎるでしょう、去年の失敗繰り返すなよ。まぁ、お笑い好きな人はキングオブコントを楽しみにしてるから事前の情報戦を制して出演者掴み取ってくるけど、この制度が一般視聴者層に向けて作ってるんだとしたら、本当にこれなんなんだろう。多分なんですけど、「シークレットにしたところで」だと思いますよ?上層部の皆さん!別に出して良くない!?一般人はシークレットにしても、名前出しててもどっちでもいいと思ってるって!それよりも番組を盛り上げてくれる芸人ファーストで考えましょうよ。芸人あっての大会なんだから。Twitter見てると出演できた芸人も出演できなかった芸人も「出れるか分からないけどよろしく!」みたいな宣伝してていたたまれないですよ。こんな仕打ちあんまりだよ・・・ 

お客さん

そう言えば、賞レースあるあるの「ヒエ~!」が聞こえてこなかったのは良い傾向。ジャルジャルのオチとか上がっててもおかしくないとは思ったけど。うんうん、この感じを徹底してくれたら「これだから女ってやつはよォ!!」みたいな意見もなくなるし良いのではないでしょうか。

 

 

終わりに

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色々言いましたけど、結局最高の大会なんですよね・・・

最後は普通の改善要望なので、どうか御容赦を。。そもそも、大会を開催してくれてるTBSには足向けて寝れませんし、途中に入った日清のワンピースのCMも「終わってる」とは思いましたけど、スポンサーとして広告出してくれてるしでありがとうございますしかないです。

来年も開催を心待ちにしています。

本当に笑わせて頂きました。

 

ありがとうございました!