土手

みんな集合だよ~

キングオブコント2018の感想(※1万字超えのため余裕があるときにでも)

コントのキングを決める笑いの祭典、キングオブコント2018が終わった。


早々に感想を書ければ良かったのですが、ダラダラと書いているうちにこんな日になってしまいました。

拙いながらも感想を書いていきたいので、よろしくお願いします。

(※あくまで私個人の感想であり、特定の誰かを貶す気持ちは毛頭ありません。というか、芸人はこの世で一番素晴らしい職業だと本気で思っています。)

 

キングオブコント2018の形式について

まず第一に、今大会の試合形式について言及しないわけにはいかないだろう。
大きく変わったのは以下の3点。

 

①ネタ時間が5分になった
②決勝進出は3組のみ
③決勝進出者が当日に発表される

 

①ネタ時間が5分になった

ネタ時間が伸びたのは良い変化だと思う。
以前までは4分のネタ時間であったが、1分増えるだけでできることは格段に増えると思う。
ボケの数、設定に深みを出すための小芝居、間(ま)など、
今まで「あと一分あれば…」と考えていた芸人にとっては朗報かと思う。
無駄を削ぎにそいだ4分間というのももちろんいいが、できることなら芸人が詰め込んだ濃密な5分を見たい派だ。今後も5分という形式自体は変えなくてもいいのではないでしょうか。

②決勝進出者は3組のみ

これはキツイ。①の煽りを受けた形になるのでしょうか。
それで言うと五分間というのも考えものになるのですが…
というのも、単純に決勝ラウンドは上位5組の熾烈な争いをやっぱ見たいですよね。
どうにかして5組にできないものだろうか…

 

③決勝進出者が当日に発表される

問題のやつ。
とりあえず言いたいことを言います。
「いやいやいやいや、それはなんなの?何を狙っているの?どの層?どの層を意識した采配なの?隠してそれがなんのメリットになるの?わかんないわかんない。全然わかりません。決勝進出者のクイズ当てがそんなに良いの?別にお笑いが、お笑い好きな人のためのものだ!なんて主張するつもりなんかなくて、一般視聴者の人にも、お笑いを見て笑って幸せになってほしいと思っていますよ。でも、その一般視聴者層を取り込む方法を大の大人が集まって思案した結果が、決勝進出者は完全シークレットで決勝当日発表!決勝進出者を当てた人には『葵わかな&バイきんぐ&みちょぱ&ファイナリスト10組全員のサインが入ったキングオブコント超レアTシャツ』をプレゼントいたします!・・・・・え????これが秘策????今年のキングオブコントは一味違うって誇大に宣伝してきて、開けてみたらこれって嘘だろ???ないないないない。勘弁してよ。普段お笑い見てない層が、へ~今年のキングオブコントは決勝進出者がシークレットなんだ~~おっ!決勝進出者が分からないから誰のサインがもらえるかわかんないけど、10組全員のサインが入ったTシャツもらえんの!?よ~~し、予想当てて、絶対見るぞーーーー!!!!・・・・・・なるか???ならなくない??はいはい、分かりましたよ、分かりました。まぁね、本当に番組を見るまで全く分からないっていうのもドキドキが増していいかもね!じゃあ、そのドキドキを抱えて決勝当日まで楽しみにしてるからね!!!・・・・・・・・・シルエット公開すんのかい!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!??!!?!?!?!?!!???!?!?!イカれてんのか!!!!!!!!!!!!!!!!!何考えてんだよ!!!!!!!???????芸人さんもこっちもモヤモヤが残ったまんま、ルールですからね、分かりましたよ従いますよ、そのかわり絶対良い大会にしてくださいね!!って想いを託して待機してるところにさ!!!!!??????それはないぜ!!!!!!絶対にない!!!!!!意味がわからないもん!!!!!!!?!?!???!!だってシルエット見りゃわかるレベルじゃん!!!??!?!?やっちまってる。もう、無理。無理だよ無理。擁護できないよ。結果を知らされてから胸にしまい込んでた芸人さんに謝った方がいいって。何を考えてるの、一体?踏みにじってるよ、弄んでるよ。なんだ?何を期待した?シルエットが出て、更に決勝進出者予想に追い風が吹くって思ったのか?そもそも予想キャンペーンに微風も吹いていなかっただろ、いい加減にしろ!!ハァハァハァ、、、、、とりあえず運営への文句はこんなもんだな・・・・・あっ、あとキングオブコントの広報ツイッターを担当していたみちょぱ好きの方。えー一刻も早くお笑い番組から足を洗ってください。あなたこれをきっかけにみちょぱの評判も落としてますからね。よろしくお願いします。」

決勝当日に出演者の発表という、直前まで誰がネタをやるのかわからない演出。
これはドキドキしましたね。
準決勝進出者を見て、「お気に入りの芸人さんは出るかな?出るかな?」と心待ちにしていた人もいたんじゃないでしょうか。


それぞれの芸人の感想

ここからは各組のネタの感想を言っていきます。

1組目 やさしいズ

 

 

この異様な形式のトップバッターとして選ばれたのは芸歴8年目のやさしいズ。
重圧もあったでしょうが、しっかりコントをやり通していました。
見ている側としてはそんなに緊張感とか伝わってこなかったんですけど、
審査員ほぼ全員緊張してたって言ってたんで、会場ではやっぱり伝わっっていたんでしょうね。

ネタは会社に恨みを持って会社に爆弾を仕掛ける会社員と清掃のバイト。
ツッコミの佐伯のかなり演劇寄りの芝居に比べ、ボケのタイはめちゃくちゃゆるい。
それは、重心の位置にも現れてて、佐伯がしっかりした足取りと佇まいでいるのに対し、
タイは重心がブレブレ。ホウキにもたれたり、右足だけに寄ったり、全体的にのけぞっていたり。
この二人の対象的な所作が、緊迫感のある状況にもかかわらず、ふんわりとした空間を作り出していたように思う。

やさしいズのコントの肝はやはり、タイが繰り出す冷静でいて鋭いツッコミだろう。

演技力過剰なセリフ → 劇団?
爆弾を手作り → 手先ワクワクさんじゃん
どうやって爆弾分解した? → 工業出てるんで
暗算が早い  → 実家KUMON?

このフリからツッコミに至るまでの間がとても素晴らしい。
ためて、その上で出てくる短くも鋭いワードチョイス。
特に、「爆弾を素人が解体できるわけがない!!一体どうやって!?」からの「工業出てるんで」は笑ってしまう。
工業高校と言わずに、工業と言い切るところが素晴らしい。タイには工業と言い切るのがよく似合う。
ここまでのコントの流れでそう思わさせられていることから、二人の演技力がハイレベルであることがうかがえる。

残念ながら結果はダントツの最下位ということに終わったが、コントのレベルの高さは十分に見せつけていたと思う。松本人志にもいい感じにいじられていたので、知名度に関してはだいぶ広まったのではないでしょうか。

設楽:85
日村:87
三村:81
大竹:84
松本:82
(私:87)

合計点数:419点

 

 

 

2組目 マヂカルラブリー

 

二組目は芸歴11年目のマヂカルラブリー。
よく間違われているのを目にしますが、マ“ヂ”カルラブリーであります。

2017年のM-1グランプリにて上沼恵美子にキレられたという話が独り歩きしてしまっているのか、
先程マヂカルラブリーとgoogleで検索してみたら、「マヂカルラブリー 面白くない」というのが第一候補でした。

「おいおいおい、ちょっと待ってくれよ」と言いたい。
M-1グランプリ2016の第三回戦で披露していた『ベランダ』というネタを見てほしい。
私はあれでマヂカルラブリーの虜になりました。

さて、まず、M-1グランプリ2017年決勝進出、キングオブコント2018年決勝進出ということで
マヂカルラブリーのお笑い偏差値が高いということに議論の余地はないだろう。
「合う、合わない」という話は置いておいて、数千組の中から選ばれたというその事実を覆すことはできない。

そんなマヂカルラブリーのコントを、実は今まで見たことありませんでした。
コントは「タイムリープ」。

「コンビニで傘を盗ろうとしている」と勘違いされる場面を何度もタイムリープするという内容。

審査員の設楽も言っていたけど、ツッコミ村上の「こんなとこじゃなくない!?!?!?」で一気につかまれた。
絶対にそこじゃない。
我々一般視聴者層も、コンビニの傘立てにたくさん刺さってあるビニール傘から、
自分の傘が分からなくなる瞬間は味わったことがあるのではないでしょうか。
ただ、そこをタイムリープさせるという発想にはいきつかない。
日常の切り取り方が実にシャープだ。

ボケのポイントも一つ一つが大きいのも大味で良い。
「ここじゃなくない!?」という構成が明かされるシーン
「これループしてない?」とオジサンもタイムリープ気付いてんのかよ
オチの村上を引きずり出してループを途中リセットするところ

構成そのものがボケになっているのがとても面白い。
ある境界線でタイムリープするという絵面のマヌケさも相まってずっと笑ってしまった。

マヂカルラブリーのネタは繰り返しが多い、というかほぼ繰り返ししかしていない気がするが、
その繰り返しの中でもきっちり展開があるのがいい。
本当に同じことをやるわけではなく、ちょっとずつ中身が変わっていくので、飽きずに楽しめるし、何より繰り返しの内容の中毒性が癖になる。

M-1よりもいい雰囲気の中でできて、良かったです。

 

設楽:90
日村:90
三村:85
大竹:90
松本:88
(私:92)

合計点数:443点

 

 

 

3組目 ハナコ

 

今大会の優勝者にもなったハナコ。
芸歴わずか4年ながらも優勝を勝ち取ったコントの世界観は独特のものがあった。

 

hiko1985.hatenablog.com

 


青春ゾンビのヒコさんのハナコの評が興味深かったので一読してみてください。

 

予選ラウンドで披露された『犬』のコントは、犬を演じる岡部、主人の秋山、友人の菊田の三人で成り立っている。
内容としては、犬と暮らす日常生活をコントにしており、岡部のほぼ完全な犬の演技が光るものになっている。

確かに岡部の犬の演技は素晴らしい。
主人の帰りを待つそわそわ感も、ジャーキーを食べたくてピクッと動いてしまう点も、知らない誰かが来た際に執拗に吠えまくるも飼い主から怒られたらすごすご帰るところも、表情、声のトーンなんかも合わせて完全に犬そのものだ。
実際、犬が「毎回嬉しいんだよなぁ」と「誰!?!?!誰!?!?」と言っているところは一度も聞いたことがないにもかかわらず、「あるある」と感じてしまうのはなぜなのだろうか。

その見事な犬っぷりに笑いがこぼれてしまうのもうなずける。
ただ、私は笑いはしたものの大笑いすることはなかった。
なぜかと言うと、実家で犬を飼っているので、岡部の犬性に「あ~そんな感じだよね~」と納得することはあっても、想像を超えてくるものはなかったからだ。
どうしても、犬のアテレコを思い浮かべてしまって、半ば面白さよりも興味深さにベクトルが傾いてしまった。
個人的に、コントでは自分の想像を超えてくる裏切りを期待してしまうので、終始犬と人間との関係性を主軸に置いたコントの中ではこれと言って裏切られることはなかった。

とはいえ、犬を飼っている人にとってかなりとっつきやすいネタだと思うし、
多くの「そんな感じ、そんな感じ(笑)」というのも共感性の笑いとして大きいものがある。
今回の審査員はみんな犬のことをよく知っていたのかな?
点数が伸びたのも納得である。

 

設楽:93
日村:94
三村:90
大竹:94
松本:93
(私):88

合計点数:464点

 

 

4組目 さらば青春の光

 

もはやキングオブコント常連のさらば青春の光。
今回で最多6度目の出場となります。

というか本当にすごくないですか?
6回も出場できないでしょ。。。
東京03が推薦コメントで言っていましたが、シンプルに面白いものを作り続けていることの凄さ、
そしてそれを実際に実行できていることに驚きです。

ネタは「鼓舞する人」
夏の間だけ予備校生を鼓舞するためだけに雇われたアルバイトの話。

さらばのネタは設定のからくりが判明するところにエクスタシーを感じることがあって、
今回の場合は解明されるまではだいぶ早かった。
予備校講師かと思いきやただの「鼓舞する人」だったという、そもそも「鼓舞する人」ってなんだよ!

森田は教室がざわざわしているのを察知すると来る。
そして、生徒を鼓舞し、東ブクロにあとを託して去る。
この一連の流れを繰り返しているのだが、その鼓舞のさせ方の変遷が面白い。
森田は、最初はホワイトボードにピラミッドを描き、社会の構造を説明した上で「最下層にいたくないなら勉強しろ!!!」と生徒を鼓舞する。これは人生で勝利した者が発することにより含蓄のある言葉になって生徒に伝わる。
しかし、森田が「鼓舞する人」というただのアルバイトだったことが明らかにされ、
お前に至ってはスフィンクスや!と訳のわからないことを言い出し始め、
福沢諭吉という漢字が書けずに野口英世と混同しているなどの点が浸透してくると、
「あぁはなりたくないな…」と、自分より下を見て自身を鼓舞する形に切り替わる。
この「自分より下の位置にいる人」のポジションが森田には似合いすぎている。
なんなんでしょう、この気持ちは。顔、声のトーン、所作、それぞれが絡み合って出てくるものだと思いますが、社会的弱者という役柄を演じるの森田上手すぎませんか?
最初はガーガー言っていたのに、最終的には震え声になるところまで一貫して悲壮感が漂っている。この森田のキャラクターと言いますか、存在は唯一無二だなと思わざるを得ません。

松本人志が言及していましたが、教室を出てから戻るまでの歩くスピードが面白いという点。
私も言われてみて「面白いな」と思いましたが、なぜ面白いのかが言語化できない。
どうして面白いんだろう。森田のやりきった感、それを噛み締めながら歩いている姿と、教室内で起こっている森田へ向けられている熱量の差かな。
ドアの裏側で廊下を歩いているときに、ひそひそ話をするような、なんか森田に対して、

      ク    ク || プ  //
      ス  ク ス  | | │ //
       / ス    | | ッ //   ク   ク  ||. プ  //
       /         //   ス ク ス _ | | │ //
         / ̄ ̄\     /  ス   ─ | | ッ //
       /  _ノ  .\     /         //
       |  ( >)(<)       ____
.        |  ⌒(__人__)     ./ ⌒  ⌒\
        |    ` Y⌒l    /  (>) (<)\
.         |    . 人__ ヽ /  ::::::⌒(__人__)⌒ \
        ヽ         }| | |        ` Y⌒ l__   |
         ヽ    ノ、| | \       人_ ヽ /
.         /^l       / /   ,─l       ヽ \


こんな感じになっている。その笑っているストロークのちょうど良さがあの歩くスピードなのかな~

ラストイヤーにかけるさらばの二つ目のネタが見たかったのですが、願い叶わず。
予選ラウンドのネタも決勝行けるやつだと思っていただけに…
「キングオブコント王者」という称号を持ってほしいコンビだったので、残念です。

 

設楽:92
日村:91
三村:92
大竹:94
松本:94
(私):95

合計点数:463点

 

 

5組目 だーりんず

 

2016年にも決勝進出していただーりんず。
どうでもいいですが、Googleで検索してみたらこういう検索結果でした。


どういうこと?????

 

まぁ、それはそれとして、だーりんずのネタは『カッコつけ払い』。
芸能人の武勇伝的な話で、後輩のお会計を先輩がこっそり払うというシチュエーション。

カッコつけたい松本りんすの姿がサマになっていて、本当にそういうことに憧れを持っていそう。
「カッコつけ払い」「パニックPay」などのワードで面白いのも出ていたけど、どうしても伸び悩んだ印象。
3000円分しかおごれなさそうな状況とか、舟盛りを進めちゃうくだりは面白かったんですけど、
間のテンポの割にボケがちょっと弱かったのかな…?

あと、審査待ちのときに「松本人志の方に目線を合わせた」と言っていましたが、
その「松本人志至上主義」的なものは嫌でした。(まぁボケただけかも知れませんが)
逆にさまぁ~ずの二人は高得点を付けていて、その面白さを二人とも言語化することはあまりないんですよね。バナナマンは割と何が面白かったのかを説明してくれるんですけど。
その意味でいうと、さまぁ~ずの二人は自身のセンスだけで勝負してきたんだって感じがして、それはそれですげぇなと思うところではありますが。

 

設楽:88
日村:85
三村:92
大竹:92
松本:80
(私:83)

合計点数:437点

 

 

6組目 チョコレートプラネット

 

 

最近はIKKOさんのものまねで有名なチョコレートプラネット。
過去、『パワー☆プリン』というTBS系のお笑い番組を見ていたこともあり、彼らがコント師であることは知っていましたが、チョコレートプラネットはキングオブコント決勝戦に来るのも2014年以来の二度目。
本人たちがいうほどIKKOさんの印象でもないかと思いますが、世間の認識はやはりIKKOさんなんですかね。

ネタは『デスゲーム』

ある日目覚めたら、知らない場所にいた。自分の首に取り付けられていた謎の装置。
正体が分からない人物から説明されるゲームの内容。果たして生き残ることはできるのか――

ってな具合で、最近ありがちなデスゲーム物を主題においたコントで、主催者の話を全く聞かない野郎のはなしです。

このネタは今回のキングオブコントの中でも最も点数が高く、実際めちゃくちゃおもしろいネタでした。
松尾の徹底して話を聞かない姿勢と、長田(おさだ)の主催者としての体裁のぶれっぷりがたまらない。
「教えろ教えろ!!!!!!」とずっと騒いでいるのに、全く人の話を聞かないというだけでこんなにおもしろいのか。
だって、もう教えているのに聞いていないんだから手のつけようがない。
「どこだここは!!?!?教えろ」→「群馬!!」→「どこだここは!?!?!?」ってもう話になんないじゃないですか。

終始、「なんなんだよコイツ、人の話聞けよ(笑)」というその面白さだけでゴリゴリ進めていけちゃうのに、更に「なんだこのニオイは!?!?!?」→「ニオイは知らない」っていうので爆発しましたね。
「話を聞かない上、これ以上に話をややこしくすんのかよ、ほんとうなんなんだお前は(笑)」感がさらに強まり、そのまま頭にかぶる変な装置の流れからオチまでずっと勢いそのままでいった印象。
最後には松尾と長田も一緒に「教えろ!!!教えろ!!!!」ってなるオチ含めて、
今日イチで爆発力のあるネタだっと思います。

結果を見てみれば本当に圧倒的で、二位のハナコとのポイント差は予選ラウンド時点で14点差。
賞レース時の得点を刻む採点をする方式の中でこの差が生まれたのは大きいと思います。
それだけ、予選ラウンドのチョコレートプラネットのネタはおもしろかった。
だからこそ、決勝ラウンドのあれは…
まぁ、決勝の話は置いておいて、単純に面白いのが見れて、大満足です。

 

設楽:93
日村:93
三村:97
大竹:98
松本:97
(私:97)

合計点数:478点

 

7組目 GAG

 

昨年度も決勝に進出していたGAG。
なぜか吉本興業のホームページの名前がまだGAG少年楽団になっていましたが、改名をしてGAGです。

今大会で連続決勝進出しているのは、GAG、さらば青春の光、わらふぢなるおの三組で、
その実力が高く評価されているように見えます。
ただ、今回のGAGとわらふぢなるおに関しては、他の準決勝進出者のネタが見たかったなと思ったり。

ネタは『居酒屋バイト』
バイト先の社員に恋をした冴えない高校生の話。

GAGのコントは福井のツッコミによって笑いの量が調整されているように思う。
また、福井のツッコミは状況の説明を担うことが多く、その説明が妙に癖になる。
それが顕著に現れたのが、宮戸がビールを飲み干すまでの間の仮初の恋人関係を維持したいのに、何もすることができない無力さを説明するシーン。
「おれたちは、、自分の無力さを感じながら、、ただ無くなっていくお酒を、、見つめることしかできへんのか~~い」

いや、その説明口調で、最後できへんのか~~いで終わるのかよ!

そこ以外にも、「えげつない下着の出方してるぞ!」「やみくもにしゃべるな!」なんかも良かったです。笑っちゃいます。

でも、優勝を取れるようなネタではないのかなという印象は拭えませんでした。
笑いの量も適度にあったものの、爆発するようなものではありませんでしたし、
良くいえば外さない、悪くいうとそこそこのネタになってしまっているのかな、と。

その意味でいうと、安定した笑いよりもカオスを望んでしまう自分がいて、
2011年の2700の『キリンスマッシュ』、2013年の天竺鼠の『寿司』、2017年のにゃんこスターの『リズム縄跳び』みたいなものを欲しがってしまいます。

う~~ん、難しいところですね。
別にそれを披露したところで上記した全組とも優勝はできていないわけですから。

 

設楽:87
日村:84
三村:84
大竹:92
松本:90
(私:90)

合計点数:437点

 

 

8組目 わらふぢなるお

 

昨年同様、決勝進出したわらふぢなるお。
サンドウィッチマンが言うように、「腹が立つおもしろさ」を持っています。

ネタは『コンビニバイト』

コンビニバイトで働くことになったふぢわらの言動が鼻につくネタ。

何かと質問を繰り返すふぢわらの腹立たしさが笑いにつながっている。
サンドウィッチマン伊達いわく「こいつ腹立つわ~~(笑)」という見方がいい感じ。
答えが確実に決まりきっていることを質問されることに対する苛立ち、腹立たしさを
口笛なるおが小気味よくツッコんでいってくれるので、見ていて楽しくもなる。
「もっとこいつを叱ってやってくれ!」という想いが出てくる。

途中の接客練習をする時の去り際に言う、「接客のですか?」→「うるせぇ!」が一番気持ちいい。
なぜか店長の背中を確認したり、クルムですかという意味不明な質問、完璧な接客ができる点など、ふぢわらの腹立たしさを増幅させるものがそこかしかに散らばっていて、それがうまくハマっていった印象です。

でも、そこまで点数高かったかな??とも思ってしまいます。
おもしろかったけど、さらば青春の光を超えるほどのものではなかったかなぁと思うのですが。
「こいつ腹立つわ~~!」のおもしろさが好きな人にはたまらないのかな。
個人的には、おもしろさもありますが、「怖いな」という感情も抱いてしまうんで、そこまで来なかったのかなぁ。

 

設楽:90
日村:92
三村:95
大竹:96
松本:95
(私:91)

合計点数:468点

 

 

9組目 ロビンフット

 

初の決勝進出となったロビンフット。
頭髪が薄い方のおぐさんはR-1ぐらんぷり2018で決勝進出しているので、知っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ネタは『結婚の報告』

待望の結婚ができると踏んできた息子の結婚相手の年齢がわからないというネタ。

彼女の詳細がちょっとずつ明らかになっていくにつれて仮想の年齢がどんどん上がっていく流れは見事。
そのまま、70手前の69歳でなんとか踏みとどまったかと思えば、早生まれで70歳になってしまったオチは綺麗すぎます。そして、ユーミンの『春よ、来い』のBGMとともに崩れ落ちるおぐの姿に、全く春が来る予感がしないのはおもしろい。

ユーミンを荒井性で呼ぶ → 48歳
らくらくフォン → 60歳
校長先生 → 60歳
待受が王貞治 → 72歳
名前がカタカナでトメ → 84歳
写真は魂抜かれる → 96歳

ここまでのテンポが良くて勢いそのままに盛り上がっていって笑った。
二人の言い合いも熱がこもっていて良かったですし、得点が高かったのも納得。
得点に関しては三村の点数がやたら低かったのが少し気になりました。
う~ん、基準がよく分からないな。まぁしょうがない。

あと、見直してみて、69歳の女性を36歳と勘違いしているのがイカれていてすごいなと思いました。

 

設楽:92
日村:93
三村:89
大竹:92
松本:96
(私:92)

合計点数:462点

 

10組目 ザ・ギース

キングオブコントには2008・2015にも出ており、2018で三度目。
練られたコントの設定に定評があり、推薦動画には福澤朗が出ており、芸能界にもファンは多い様子。
尾関はカープ芸人として地上波にもよく出ているが、高佐はあまり機会がない。
ただ、そのかわりギャグラリーという企画イベントに出て一発ギャグを磨いたり、
大喜利の動画をyoutubeでアップしていたりと精力的に活動しているので気になる方はぜひ。

さて、ネタは『サイコメトリー』

まず、ネタの感想に入る前に言いたいんですけど、撮り方が視聴者にとってはハンデになっちゃってるなと思いました。
サイコメトリー中は後ろのモニターに思念の内容が映し出されるようになっているのですが、
全体を映し出すと遠くなってしまうのか、サイコメトリー中は画面いっぱいに動画が映ってしまって、ザ・ギースの二人が見えないんですよね。
そのサイコメトリーの映像を見ている間の二人の演技も見たかったな…残念。

内容としては、完全に『サイコメトラーEIJI』をモチーフにしていると思うのですが、
サイコメトリーで製造工程を見せるのは斬新な発想。
ただ、一番笑ったのは、刑事が犯人だとわかりもみ合った際に尾関が放った「単純に体格差で勝った」という一言。
コントの設定が練られているだけにこういう単純なやつで笑っちゃいますね。
映像に使われてるおじさんもいい味出してました。

ん~~、まぁ触れないわけにはいかないので一応言っておきますが、
審査員評で言ってた三村の「刑事が犯人じゃないほうが…(よかった)」ってのは横暴ですよ。
そんなこと言ってたらコントは衰退していくと思います。
なんでもかんでも思うようになっていくなんてつまらないじゃないですか。
三村の思う理想のコントの型にはめ込むようなものの見方はナンセンスだと感じざるを得ない。
その感情をこれからも持ち続けるつもりなら、審査をする資格がないとさえ思ってしまいます。

ザ・ギースの二人はそんなこと気にせず、好きなコントをこれからも作っていってほしいです。

 

設楽:90
日村:90
三村:91
大竹:93
松本:92
(私:91)

合計点数:458点

 

決勝ラウンド

決勝ラウンドについては、それほど語ることもないので簡単に。

ハナコ

三組の中では明らかにピカイチでした。
それに、予選ラウンドの犬のネタよりもこちらの方が好きです。
林修先生も言っていましたけど、先の展開が気になるってのはそのとおりだな、と。
どうなって終わるの!?とずっと気になりました。
「私を捕まえて」からここまで膨れさせることができるのは、凄いことだと思います。

この「捕まえて~~」って最初に始まった展開から、最後に捕まえるところまでどのくらいの時間が経っていたんだろうと考えると途端に面白く感じてくる。
そして、菊田の存在。
あいつは本当に誰だったんだろう。
彼女かと思ったら菊田だった時の、「チッチッチッチ」と指を振りながら出てくる菊田の顔の腹立たしさね。
この三組の中なら優勝は文句なしです。おめでとうございます!

 

わらふぢなるお

う~ん。。。
面白能力発表会になっちゃっただけかな~って。
コントとして奥行きがあまりないように思えてしまいました。
能力一つ一つが単独で機能しちゃっているので、コント全体のまとまりが欠けていたような。
特に盛り上がるところもなく、尻すぼみ感が否めなかったなぁ。

 

チョコレートプラネット

えぇ~~~(困惑)
今度は長田の工作物の発表会になっちゃってるじゃないですか。
これまた、面白工作物はそれ単体では面白いものの、コントに落とし込むと無理矢理感のある流れにならざるを得ないですね。
道具ありきでコントの流れが作られているように見える(思える)。
そうなると、もうコントという枠では採点できないですし、残念な結果になってしまったのもむべなるかなといった感じ。
頼むよ~~チョコプラ~~~

でも、ネタやり終わったあと長田の「ん~~~~~!!!!おまかせします!!!!!」の潔さかっこよかったです。

 

今後の改善要望

①決勝進出者の当日発表はやめましょう。

何も生み出さなかったから。

②番組で選んだ審査員の審査という形式の見直し

今回の大会中、得点の付け方にどうしても疑問を感じるときがありました。
5人にすべて委ねるというのは審査も難しいし、どうしても審査員の好みに左右されることになる。
ま、好みに左右されるのは人間ですから別にいいんですけど、ネタの審査をする側は、フラットな目線も持ち合わせていないといけないと思います。それを全員持ち合わせていたのか?疑問です。
感情先行型の審査をするくらいなら、また準決勝進出芸人による審査に戻すのもありじゃないでしょうか。
全員現役でコントでステージに立ち続けている人たちですし、その現場の評価というものの重みをもう少し配慮してくれてもいいんじゃないでしょうか。

③女性観覧客だけ?なのをやめよう

なんかここ最近、女性の笑い声しかないですよね?
ちょっと意味がわからない。
映るのも見目麗しい女性ばかり。作為的に選んでいるとしか思えません。
これは過去大会の中でも、言葉を選ばずに述べれば「死んでくれ」と思ったことなのですが、
ネタ中に「ヒエ~~~!!!」とか「キャーーーーッ!!」っていうの勘弁してもらえませんか?
見てて、めちゃくちゃ冷めます。なんのつもりなんだよ。
せめて、もし、会場に入れるならお笑い好きな人にしてください。
その人はむやみやたらに芸人の行動に対して悲鳴なんかは挙げないと思うので。

 

終わりに

今年はいろいろ思う所あって、文句も書いちゃったんですけど、
なんだかんだで楽しんでます。
やっぱり、賞レースにかけてくる芸人さんのぶつけてくるネタは見応えがあります。
今後も続けていってほしい大会ですし、大会運営さん応援しているのでよろしくお願いします!