がんばれ 尾々井剛！

以前、御用邸に勝手に忍び込んでとんでもなくどデカいおむすびを食べていたら、急に体が浮き始めていたの。

「浮く」といっても数センチ程度で、全然ふわふわする感じじゃなくて、プールの上でビート板に乗ってバランスを取っている時のような感覚だったわ。

おむすびもポロポロ落ちてどっかに行っちゃうし、「もうなんなのよ！」と思って、ふと上を見たら、バイキンマンの乗ってるやつと完全に一緒のデザインのUFOに乗ったままこちらを見つめている『DEATHNOTE』に出てくる尾々井剛がいたの。

尾々井は目の前に備え付けてあるレバーをガチャガチャ動かして、私の上空をゆらゆら移動していたみたいなんだけど、確かにその動きに応じて私もつられて移動してたみたいなのよ。

つまり、私を浮かしてUFOに取り込もうとしていたってわけね。

でも、よく考えてみると、バイキンマンがUFOを使うのって完全に移動目的だし、私たちがよく考える「UFOは人を攫う」っていう用途とは違うはずなのよ。

だから私のことも十分に吸い上げられていなかったのだと思うんだけど、どうして尾々井がそんな行動をしているのかが意味不明よ。

私、なんかした？

尾々井に攫われるようなこと何もしてないと思うの。

せいぜい思い当たるのは、尾々井の自宅にブラックジャックがお母さんの敵を討つために用意した地雷をたっぷり仕込んだ島みたいに、地雷を埋め込みまくったってことだけ。

それ以外はなにもしてないの、私。

あと、尾々井が寝ている隙に肩甲骨を殴りまくったりしたけど（メリケンサック付）、なんなの？あれが原因？

それとも、ありとあらゆる手口を使って尾々井に日本の国債を全部押し付けたけど、それくらいのことで？こんな行動に出たりするの？

よく見ると、尾々井は泣いていたわ。

私が逡巡している間も、尾々井はずっと私を攫おうと精一杯レバーをいじっていたみたいだけど、コツを掴んだからもう私は浮いていないし、なんなら食後のデザートのゼリーを食べ始めていた私に敗北感を感じていたのかもしれないわね。

もう私のことを浮かすことは出来ないと悟ったのか、尾々井はくしゃくしゃになった顔を隠すように、バイキンマンのUFOに乗ったままどこかへ去っていったわ。

彼をつき動かしたものがなんだったのか、もう今となっては分からない。

ただ一つ言えることは、日本の未来は尾々井の手にかかっているということだけよ。

（借金の返済頑張ってね！尾々井！残りあと約1000兆円よ！）