リンゴを握りつぶしながら「次はお前もこうなる・・・」と宣言することに対する憧れ
男であれば、誰しもがリンゴを握りつぶしながら「次はお前もこうなる・・・・・」と宣言したい欲求に駆られたことがあるだろう。
齢25歳にして未だにそう思っている俺のような存在は別に異端ではない。歩きスマホをしてる兄ちゃんも、パソコンとにらめっこしてるおじさんも、かめはめ波を練習する小学生も全員思ってる。
リンゴを握りつぶしながら「次はお前もこうなる・・・・・」って言いてぇ!!と。
ただ、残念ながらリンゴを握りつぶしながら「次はお前もこうなる・・・・・」と言い放てるシーンに出会うことはまずない。
これが使用できるのは、敵二人に対してこちらは一人、敵のうち一人は雑魚でそいつを瞬殺したあとだ。
しかし、敵二人に対してこちらが一人で、その敵のうち一人が雑魚で、そいつを瞬殺したあとというシーンは、出会おうとして出会えるものではない。
まず、敵二人って誰だよ。
幸い、日本には法というものが整備されている。いきなり殴りかかってくる輩は即捕獲、即死刑になっているので、このご時世、わざわざ敵になって立ち塞がって来るやつはいない。
もし、仮に。
仮に二人の敵が現れたとして、そのうち一人を瞬殺にすることは可能なのか?
答えはNOだ。
絶対にグッチャぐちゃになる。
喧嘩なんてしたことない俺たちが行う初めてのFIGHTは、K‐1とかプロレスの試合みたいな鮮やかなものでは無い。
人を本気で殴ったこともないビビリの人間が繰り出すパンチなど、たかが知れている。そんなヘナチョコパンチ、ヘロヘロキックの押収を数十分くり広げたのちに、疲れてきた方が負ける。見てて痛々しい、泥仕合だ。
ちっ、違う、ちがうんだ。
俺たちが見せたいのは「余裕さ」なんだ。
必死さは要らないんだ・・・
息も絶え絶えで、
「次は、ハァッハァッ、おまえっっヘェヘェ、もぉう、こおぅ、ハアハア、なぁるぅフゥフゥ…」
ダサいこと山の如し!!
こうじゃない、、こうじゃないんだよぉ…
さらに言うと、リンゴなんていっつも持ってるわけがない。俺たちはエコノミックアニマルなので、物々交換よろしく、リンゴを見せびらかしながら街を練り歩くなんてことはほぼないのだ。そんなことをしていいのは、もりやすバンバンビガロだけだ。あいつだけは許されてる。
まぁ、実現可能性は限りなく低いものの、このシチュエーションにおいて、リンゴというのは絶妙なチョイスだ。
みんなその存在を知っており、かつ、その硬さも想像に難くない。リンゴを粉砕したことによる凄みを纏うことができ、相手への牽制も貼ることが出来る。まさに、ベスト・オブ・次はお前もこうなる、であることは間違いない。
例えば、もしこれがブドウだったらどうなる?
しかも巨峰じゃないほう。
「次はお前もこうなる・・・」プチュンッヌッッ!!
・・・・・
興ざめだ。
小さいぶどうを握りつぶすなんてことは誰でも出来るし、そもそもブドウがもったいない。
1個1個大切に食べるべきだ。
プチュンッヌッッ!!とか音出してたぞ、オイ。
では、大根はどうか。
大根はいいんじゃないだろうか。
硬さも分かるし、大根を握りつぶしたら凄そうだ。
しかし、大根はダサいからダメだ。
ダサいし、たまにエロい大根もあるからダメだ。エロいのは良くない。気が散るから。
やはり、リンゴが至高である。
握りつぶすのはリンゴじゃなきゃあ、いけない。
さて、ここまで、リンゴを握りつぶしながら「次はお前もこうなる・・・・・」と宣言することについて考えてきたが、実は一番大事なことをまだ議論していない。
それは、、、
俺たちはリンゴを握りつぶせるような握力なんて持ってねーーーーーってことだよ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!